• 2025-09-10
金の延べ棒が2つ

金を運用するには?投資のメリットとデメリットを解説

金は、長い歴史の中で「永遠の価値」を持つ資産として人々に選ばれてきました。経済情勢が不安定な時代でも価値を保ちやすく、世界中で信頼されている実物資産です。

本記事では、金の基本的な特徴や投資メリット・デメリット、そして今後の資産形成にどう活かせるかをわかりやすく解説します。投資を検討している方は、参考にしてみてください。

金の特徴と市場動向

金は、古来から世界中で愛されてきた金属です。まずは、価値の根拠と価格変動の要因について解説しましょう。

価値の根拠

金の価値が長く保たれてきた理由には、いくつかの要素があります。代表的なものは、次の通りです。

  • 地球上に存在する量が限定的であり、人工的に大量に作り出すことが非常に困難であること
  • 装飾品としての需要、ジュエリー用途での価値
  • 工業的用途(電気伝導性、耐食性など)を有しており、電子機器や先端産業での需要があること
  • 化学的に安定で腐食しにくく、長期間にわたって品質を保てるという物理的な性質

これらの性質により、金そのものには「価値があるもの」としての役割が保たれてきました。

価格変動の要因

金は「供給が大きく変動しにくい資源」であるため、価格変動の主な要因は需要の変化にあります。特に以下のような要因が金価格を動かすとされます。

  • インフレ期待・通貨価値の低下
  • 地政学リスク、戦争・紛争・金融危機等の“有事”
  • 中央銀行や国の金準備政策
  • 経済成長や技術進歩による工業需要の変化
  • 為替変動(特に米ドル建てで取引される金価格に対する、円換算時の為替変動)

たとえば、世界的な危機時には通貨安や株式下落などが同時に起こる中で、「金」に資金が流れやすくなる傾向があります。

近年では、2020年以降、世界の不確実性やインフレ懸念の高まりを背景に金価格が大きく上昇しました。特に日本では円相場の変動も重なり、国内価格の上昇も顕著となっています。

金投資のメリット

金投資には、他の資産との違いゆえの強みがあります。まずは、代表的なメリットについて解説しましょう。

信用リスクがほとんどない

金は、企業や国の信用に依存しない「実物資産」であり、株式や債券のように発行体の倒産や経済危機によって価値が失われるリスクがほとんどありません。世界共通の価値を持ち、どの国でも通用する普遍的な資産として認識されています。

そのため、金融市場が不安定な局面や通貨の信頼性が低下する状況でも、金は価値を保ちやすい傾向があります。信用リスクに左右されず、長期的に資産の安全性を確保したい人にとって、金は信頼性の高い保有手段といえるでしょう。

インフレが進行しても価値を維持できる

物価が上昇すると、お金の価値は相対的に下がり、同じ金額で買えるものが減っていきます。しかし、金は紙幣や預金とは異なる「実物資産」であるため、インフレが進行しても価値を保ちやすい特性があります。世界的に通貨の信用が揺らぐ局面では、安全資産として金の需要が高まり、価格が上昇する傾向も見られます。

そのため、金は資産の一部を守る「インフレヘッジ」として有効な手段とされており、長期的に購買力を維持したい投資家に適した選択肢といえるでしょう。

世界中で価値を認められている

金は、国や通貨の枠を超えて価値が認められることから、“無国籍通貨”とも呼ばれます。どの国でもほぼ共通の価値基準で取引できるため、国際的な流動性が高く、資産としての信頼性も非常に高いといえます。政治情勢や経済政策の影響を受けにくく、世界のどこにいても一定の価値を保てる点が魅力です。

海外移住や資産分散を考える人にとっても、金は安定した保有手段として有効です。国境を越えて通用する価値を持つことが、金の普遍的な強みといえるでしょう。

リスク分散の効果
 金は株式や債券とは異なる値動きを示すことが多いため、ポートフォリオの中に金を含めることで逆相関的な補完効果が期待されます。つまり、主要資産が下落するときに金がその下支えとなる可能性があります。

金投資のデメリット

金投資には、メリットだけではなくデメリットもあります。代表的なものを、以下に解説していきましょう。

配当や利息を生まない

金は、株式のように配当を得たり、債券のように利息を受け取ったりすることはできません。つまり、保有しているだけでは定期的な収益(インカムゲイン)は発生しません。

金の運用益は、主に購入時と売却時の価格差、いわゆる「キャピタルゲイン」によって得る形となります。そのため、価格変動のタイミングを見極めることが重要です。短期的な利益よりも、長期的な価値保全を目的とする資産として位置づけるのが適しており、他の投資商品と組み合わせてポートフォリオを構築するのが効果的です。

安全な保管場所が必要である

金を現物として保有する場合は、安全な保管場所の確保が不可欠です。自宅での保管は盗難や災害のリスクがあるため、銀行の貸金庫を利用する人も多く、その際には貸金庫の使用料や保険料といった管理コストが発生します。

金の売買には購入・売却時のマージン(価格差)や仲介手数料がかかる点にも注意が必要です。さらに投資信託などで金を間接的に保有する場合は、信託報酬などの維持費用も加わります。これらのコストを把握したうえで、保有方法を選ぶことが重要です。

元本は保証されない

金は「安全資産」として知られていますが、元本が保証されているわけではなく、価格が下落するリスクも存在します。世界的な景気動向や需要と供給の変化、さらには技術革新や新素材の登場によっても、金の価格が影響を受けることがあります。

また、金は国際的に米ドル建てで取引されるため、為替レートの変動も無視できません。円高になると国内での金価格は下がり、円安になると上昇する傾向があります。そのため、金投資では市場価格だけでなく為替動向も合わせて注視することが重要です。

まとめ

金は、世界的な経済危機やインフレの局面においても価値を保ちやすく、長期的な資産防衛の手段として高く評価されています。株式や債券とは異なる値動きを示すため、ポートフォリオに組み込むことでリスク分散効果も期待できます。

ただし、金には配当や利息がなく、保管コストや価格変動のリスクも伴います。そのため、短期的な利益を狙うよりも、安定的な資産形成を目的として長期的に保有する姿勢が求められます。世界情勢や為替の影響を見極めながら、バランスの取れた投資戦略の一部として金を活用することで、将来にわたる資産の安定を図ることができるでしょう。