NISA口座は死亡するとどうなる?相続するときに知っておきたいポイント
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NISA(少額投資非課税制度)を利用していた人が亡くなった場合、NISA口座で保有していた株式や投資信託なども相続に関係します。「NISAだから相続時も非課税のまま引き継げるのでは」と考えるかもしれませんが、相続人のNISA口座へそのまま移管する仕組みではありません。
日本証券業協会は、NISA口座の上場株式等を相続した人について、被相続人の死亡を知った日以後、遅滞なく「非課税口座開設者死亡届出書」を金融機関へ提出する必要があると説明しています。この記事では、NISA口座を持つ人が死亡した場合の基本的な扱いから、相続人が確認したい手続き、相続後の資産管理まで順番に整理します。
NISA口座は死亡するとどうなるのか
NISAは、株式や投資信託などへの投資から得られる売却益や配当・分配金を非課税とする制度です。金融庁によると、NISAを利用するには銀行や証券会社などにNISA口座を開設する必要があります。
金融庁「NISAを知る」
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/know/index.html
(最終確認日:2026-08-21)
口座を開設した本人が亡くなった場合は、相続人がNISA口座そのものを引き継ぐのではなく、所定の相続手続きを進めることになります。
NISA口座そのものを相続人が引き継ぐわけではない
日本証券業協会のQ&Aでは、NISA口座を開設していた人が亡くなった場合について、相続人は被相続人の死亡を知った日以後、遅滞なく「非課税口座開設者死亡届出書」を提出すると説明されています。
日本証券業協会「2024年以降のNISAに関するQ&A」
https://www.jsda.or.jp/shijyo/seido/tax/files/202509_nisa_qa.pdf
(最終確認日:2026-08-21)
ここでよくある誤解が、「NISA口座を持っている人が死亡すれば、家族のNISA口座へそのまま資産を移せる」という考え方です。相続人自身がNISAを利用していたとしても、被相続人のNISA口座をそのまま引き継いで運用を続ける仕組みではありません。NISAの非課税措置と、相続による金融商品の移管は分けて考える必要があります。
相続した金融商品は相続人の課税口座へ移管される
被相続人のNISA口座で保有していた上場株式等は、相続によって取得した人の特定口座や一般口座などへ移管することになります。日本証券業協会のQ&Aでは、被相続人のNISA口座から相続人の特定口座または一般口座への移管が示されており、相続人のNISA口座へ移管することはできません。
つまり、相続人自身がすでにNISAを利用していたとしても、相続した株式や投資信託をそのNISA口座へ直接移し、被相続人の非課税扱いを引き継ぐことはできません。投資信託そのものの特徴や注意点を整理しておきたい場合は、投資信託の注意点も参考になります。
死亡後もNISAの非課税が続くとは限らない
もう一つ確認しておきたいのが、口座名義人が死亡した後の配当金や分配金などの扱いです。日本証券業協会のQ&Aでは、被相続人が死亡した日から「非課税口座開設者死亡届出書」を提出するまでの間に、NISA口座で支払われた配当金等がある場合、遡及して課税されると説明されています。
そのため、「金融機関へ届け出るまではNISAの非課税扱いがそのまま続く」と考えないよう注意が必要です。NISA口座があることを把握したら、まず取引していた金融機関を確認し、死亡に伴って必要となる届出や相続手続きについて案内を受けましょう。
NISA口座を相続するときの手続きと税金の考え方
NISA口座を保有していた人が亡くなった場合は、金融機関への届出に加えて、相続した金融商品の取得価額についても確認しておきたいところです。
NISAで保有していた資産だからといって、相続後も被相続人の購入時の取得価額がそのまま使われるとは限りません。相続後に売却するときの税務にも関係するため、金融機関での手続きと税務上の扱いは分けて確認しましょう。
まずNISA口座のある金融機関へ確認する
家族がNISAを利用していたことが分かったら、口座のある証券会社や銀行などへ死亡の事実を伝え、必要となる手続きを確認します。日本証券業協会は、NISA口座を開設していた人が亡くなった場合、「非課税口座開設者死亡届出書」の提出が必要になると案内しています。
日本証券業協会「2024年以降のNISAに関するQ&A」
https://www.jsda.or.jp/shijyo/seido/tax/files/202509_nisa_qa.pdf
(最終確認日:2026-08-21)
金融機関へ問い合わせる際は、次の文面を下書きとして利用できます。
【NISA相続の確認用テンプレート】
「家族が亡くなり、貴社でNISA口座を保有していたことが分かりました。相続に必要となる届出と、保有している金融商品の移管手続きについて、現在必要な書類と手順を教えてください。」
実際の必要書類や受付方法については、口座を開設している金融機関で最新の案内を確認してください。どの金融機関に口座があるのか分からない場合、預貯金については亡くなった親の銀行口座を調べるには?相続時照会の仕組みと確認方法を解説で確認方法を整理しています。
なお、同記事で扱う相続時照会は預貯金口座を対象とした仕組みです。証券口座を一括して検索する制度ではありません。
相続した商品の取得価額にも注意する
相続した株式や投資信託を将来売却する場合は、取得費(売却損益を計算するときの基礎となる金額)の扱いも確認する必要があります。
NISA口座から相続によって払い出された上場株式等については、相続人が取得したものとみなされる金額に関する税務上の取り扱いがあります。具体的な取得価額は、相続した商品や相続開始時点の状況を踏まえて確認しましょう。
ここで避けたいもう一つの誤解が、「親がNISAで購入したときの価格を、そのまま相続人の取得価額として引き継ぐ」という考え方です。
相続後に売却する予定がある場合は、金融機関が発行する書類などを保管し、取得価額を確認できる状態にしておきましょう。個別の売却時の税額や相続税評価については、商品の種類や状況によって確認すべき内容が異なるため、一律の税額は示しません。
税務上の個別判断が必要な場合は、国税庁の情報や税務署、税理士などへ事実関係を示して確認する方法があります。
NISAの資産も相続財産の一部として整理する
NISAは投資による利益に対する非課税制度ですが、NISA口座で保有する金融商品が相続財産から外れるという意味ではありません。相続時には預貯金や不動産などとあわせて、被相続人がどのような金融資産を保有していたのかを確認していきます。
相続財産全体を把握するときは、相続対象になるものは?見落としやすい項目を知っておこうも併せて確認すると、預貯金以外の財産を整理する際の参考になります。NISAだけを切り離して考えるのではなく、被相続人が保有していた金融資産の一つとして整理しておきましょう。
NISAの相続で慌てないために確認しておきたいこと
NISAの相続では、口座の存在を把握した後、金融機関への届出や保有商品の確認、相続人への移管と手続きを進めます。家族が投資をしていたことは知っていても、利用していた金融機関や保有商品までは把握していないこともあります。相続時に確認しやすくするため、自分自身の資産についても日頃から所在を整理しておく方法があります。
金融機関と保有商品を整理する
まず確認したいのは、NISA口座を開設している金融機関と、そこで保有している金融商品です。NISAでは株式や投資信託などが対象となるため、口座があることだけでなく、何を保有しているのかも整理しておきます。家族自身の資産について記録する場合は、次のようなメモを利用できます。
【NISA資産整理メモ】
金融機関名:
NISA口座の有無:
保有商品の種類:
関連書類の保管場所:
家族に共有している内容:
このメモは、証券会社などが発行する正式な書類に代わるものではありません。また、ログインパスワードなどの認証情報を同じメモに記載することを勧めるものでもありません。
資産全体を把握する方法については、資産管理アプリとは?注目される理由とメリットの解説も、日頃の資産管理を見直す際の参考になります。
相続後に保有を続けるかは改めて考える
相続によって株式や投資信託を取得したからといって、被相続人と同じ運用方針をそのまま続ける必要があるとは限りません。
相続人自身の資産状況や運用目的、商品の特徴などを確認したうえで、保有を続けるかを検討します。投資商品には価格変動などのリスクがあるため、相続したという理由だけで判断せず、商品内容を把握することが先です。投資信託について基本から確認したい場合は、投資信託の魅力に迫るも関連情報として確認できます。
相続手続きと、その後の投資判断は分けて考えましょう。まず必要となる相続手続きを確認し、そのうえで自分の資産管理方針に合うかを検討します。
分からない点は事実関係を整理してから確認する
NISAの相続について金融機関へ問い合わせる際は、「誰が」「どの金融機関で」「どのような商品を保有していたか」を分かる範囲で整理しておくと、確認事項を伝えやすくなります。
手続きと税務上の判断を一緒に考えると、確認先が分かりにくくなることがあります。NISA口座の届出や移管方法は取引金融機関へ、税務上の個別判断が必要な場合は国税庁の案内や税務署、税理士などへ確認する方法があります。
制度の内容は変更される可能性があります。実際に相続が発生した時点で、金融庁や日本証券業協会、取引金融機関などの最新情報も確認しましょう。
特に「NISAだから相続後も税金は一切関係しない」「相続人のNISA口座へそのまま移せる」と思い込まず、NISAの非課税制度と相続手続きを分けて確認することがポイントです。
まとめ
NISA口座を持つ人が死亡した場合、相続人がそのNISA口座をそのまま引き継ぐわけではありません。日本証券業協会では、口座開設者が亡くなった場合、「非課税口座開設者死亡届出書」を提出する手続きが案内されています。
相続した金融商品は相続人の特定口座や一般口座などへ移管され、相続人のNISA口座へ直接移管することはできません。相続後に売却する可能性がある場合は、取得価額の扱いについても確認しておきましょう。
次にやるべき順番は、1つ目にNISA口座を開設していた金融機関と保有商品を確認する、2つ目に金融機関へ死亡の届出と相続手続きを確認する、3つ目に移管後の資産について保有を続けるか検討するという流れです。
