• 2026-04-15
通帳

亡くなった親の銀行口座を調べるには?相続時照会の仕組みと確認方法

親が亡くなったものの、「どの銀行に口座を持っていたのか分からない」というケースがあります。まずは通帳やキャッシュカードなど、手元に残された情報から取引金融機関を確認します。一定の条件を満たす場合は、「相続時照会」を利用して預貯金口座の所在を確認する方法もあります。

相続時照会とは、亡くなった人が生前に預貯金口座へのマイナンバーの付番を行っていた場合に、相続人が金融機関で申し込むことで、付番された預貯金口座の所在を確認できる仕組みです。ただし、亡くなった人のすべての口座を無条件に探せる制度ではありません。

この記事では、亡くなった親の銀行口座を調べる方法と、相続時照会の対象や手続き、利用する際に確認しておきたいポイントを整理します。

亡くなった親の銀行口座を調べる方法

亡くなった親の銀行口座が分からない場合、最初に手元の資料などから取引していた金融機関を確認します。金融機関が判明している場合は、各金融機関へ相続手続きについて問い合わせる方法があります。

一方、2025年4月から預貯金口座付番制度が拡充され、一定の条件を満たす場合は相続時照会を利用できるようになりました。まずは手元の情報を整理し、必要に応じて制度の利用を検討すると、確認の流れを把握しやすくなります。

通帳やキャッシュカードなど手元の情報を確認する

最初に確認したいのは、亡くなった親が残した通帳やキャッシュカードなど、金融機関との取引を把握できる資料です。通帳が見つからない場合でも、金融機関との取引を確認できる資料が残されている可能性があります。まずは、どの金融機関と取引があったのかを確認できる情報を整理してみましょう。

ただし、手元にある資料だけですべての預貯金口座を把握できるとは限りません。家族が存在を把握していなかった口座がある可能性も考えられます。確認した金融機関が増えてきた場合は、次のようなメモを使うと調査状況を整理できます。

【銀行口座確認メモ】

金融機関名:
支店名:
確認できた資料:
口座名義:
金融機関への確認状況:

このメモは、口座の存在を証明する書類ではありません。どの金融機関まで確認したのかを整理するためのものです。暗証番号など、慎重な管理が必要な情報まで記載する必要はありません。

相続では、預貯金以外にも確認が必要な財産があります。金融資産だけに絞らず全体を把握したい場合は、相続対象になるものは?見落としやすい項目を知っておこうも参考になります。

金融機関が分かっている場合は個別に確認する

取引していた金融機関が分かっている場合は、その金融機関へ相続手続きについて確認します。全国銀行協会では、口座名義人が亡くなった場合、遺族や遺言執行者などが預金の相続手続きを行う必要があると案内しています。相続の方法や内容、金融機関によって取り扱いや必要書類が異なる場合があるため、取引金融機関への確認が必要です。

一般社団法人全国銀行協会「預金相続の手続の流れ」
https://www.zenginkyo.or.jp/article/tag-f/7704/
(最終確認日:2026-08-21)

ここで注意したい誤解が、「親が利用していた銀行名が分かれば、すぐに預金を引き出せる」という考え方です。口座の所在を確認することと、預金の相続手続きを進めることは分けて考える必要があります。

全国銀行協会によると、取引金融機関へ口座名義人の死亡を連絡すると、原則として預金の入出金などの取引が停止されます。その後の手続きは相続の状況などによって異なるため、金融機関の案内を確認しながら進めましょう。

相続時照会を利用できる場合もある

取引金融機関を把握できていない場合に、利用できる可能性があるのが「相続時照会」です。デジタル庁によると、亡くなった人が生前に預貯金口座への付番を行っていれば、相続人が金融機関で相続時照会を申し込むことで、一部の対象外金融機関を除き、マイナンバーが付番された預貯金口座の所在を確認できます。

デジタル庁「よくある質問:預貯金口座付番制度について」
https://www.digital.go.jp/policies/mynumber_faq_09
(最終確認日:2026-08-21)

ここで注意したいのは、相続時照会を「亡くなった人のすべての銀行口座を検索できる制度」と捉えないことです。対象となるのは、被相続人が生前にマイナンバーの付番を行っていた預貯金口座であり、一部の金融機関は手続きの対象外となっています。

手元の資料から口座を確認する方法と、相続時照会は役割が異なります。相続時照会だけに頼るのではなく、確認できる資料も併せて整理しておきましょう。

相続時照会の仕組みと確認しておきたい条件

相続時照会を利用する前に、預貯金口座付番制度との関係を理解しておきましょう。預貯金口座付番制度とは、預貯金者が金融機関へマイナンバーを届け出て、預貯金口座に付番する制度です。届出は任意であり、公金受取口座登録制度とは異なります。相続時照会にも対象となる条件があるため、仕組みを確認したうえで利用を検討します。

生前にマイナンバーが付番された預貯金口座が対象になる

デジタル庁によると、預貯金口座への付番は、預貯金者が任意で金融機関にマイナンバーを届け出る制度です。2025年4月から制度が拡充され、相続時などに付番された口座の所在を確認できる仕組みが利用できるようになりました。

デジタル庁「預貯金口座付番制度等の拡充について」
https://www.digital.go.jp/news/dd6aa934-b132-4438-bed8-b6f86f0e37d8
(最終確認日:2026-08-21)

そのため、亡くなった親が預貯金口座への付番を行っていなければ、相続時照会によってその口座の所在を確認することはできません。また、デジタル庁は一部手続きの対象外となる金融機関も公表しています。

デジタル庁「一部手続きの対象外となる金融機関」
https://www.digital.go.jp/policies/numbering-on-accounts/designate
(最終確認日:2026-08-21)

「マイナンバーを持っていれば、相続人が亡くなった人のすべての口座を一括して検索できる」という理解は正確ではありません。預貯金口座への付番の有無や、対象となる金融機関などを確認したうえで、相続時照会の利用を検討する必要があります。

相続時照会には本人確認書類などが必要になる

デジタル庁によると、相続時照会では申請者の本人確認書類に加え、被相続人の氏名・住所・生年月日を確認できる書類が必要です。さらに、申請者が法定相続人または包括受遺者であることを確認できる書類も求められます。

なお、被相続人本人のマイナンバーは不要とされています。相続時照会には手数料が必要となるため、具体的な金額を含む最新の手続き内容は、申し込みを行う金融機関で確認しましょう。

デジタル庁「よくある質問:預貯金口座付番制度について」
https://www.digital.go.jp/policies/mynumber_faq_09
(最終確認日:2026-08-21)

金融機関へ確認する際には、次の文面を下書きとして利用できます。

【相続時照会の確認用テンプレート】

「親が亡くなり、保有していた預貯金口座を確認しています。相続時照会を利用したいのですが、この金融機関で申し込みが可能か、また現在必要となる書類と手続き方法を教えてください。」

必要書類や受付方法については、実際に申し込む金融機関でも確認したうえで手続きを進めましょう。

相続時照会の結果だけで相続手続きが完了するわけではない

相続時照会は、預貯金口座の「所在」を確認するための仕組みです。照会結果が届いたことで、預金の払戻しや名義変更などの相続手続きまで完了するわけではありません。

デジタル庁によると、照会結果は預金保険機構から相続時照会結果通知書として郵送されます。通知書の内容について不明点がある場合は、記載されている各金融機関への問い合わせが案内されています。

口座の所在が分かった後は、それぞれの金融機関で必要となる相続手続きを確認します。相続時照会は口座を探すための手段と捉え、その後の相続手続きとは分けて整理すると理解しやすくなります。

また、家族名義になっている預金が見つかり、実際には亡くなった親が資金を出して管理していた場合などは、口座名義だけで相続財産かどうかを判断しないことも重要です。

名義預金とは?相続財産になるケースと見分けるポイントをわかりやすく解説も併せて確認すると、名義と実際の資金管理が異なる預金について整理できます。

親の銀行口座が見つかった後に確認すること

亡くなった親の銀行口座を把握できたら、次はそれぞれの金融機関で必要となる相続手続きを確認します。必要書類は、遺言書や遺産分割協議書の有無などによって異なる場合があります。口座を発見した時点で自己判断による払戻しを進めるのではなく、金融機関が案内する手順を確認しましょう。

金融機関ごとに相続手続きを確認する

全国銀行協会では、預金相続について、金融機関への申出、必要書類の準備、書類の提出、払戻しなどの流れを案内しています。ただし、必要書類や取り扱いは、相続の状況や金融機関によって異なる場合があります。遺言書があるケースと、遺産分割協議によって相続するケースでも、必要となる手続きが同じとは限りません。

一般社団法人全国銀行協会「預金相続の手続に必要な書類」
https://www.zenginkyo.or.jp/article/tag-f/7705/
(最終確認日:2026-08-21)

複数の銀行口座が見つかった場合は、「どの金融機関まで連絡したか」「必要書類を確認したか」といった進捗を記録しておくと整理しやすくなります。金融機関への確認状況を整理する場合は、次のようなメモを利用できます。

【相続手続き進捗メモ】

金融機関名:
連絡した日:
確認した手続き:
案内された必要書類:
次に確認すること:

このメモは、金融機関が指定する手続書類に代わるものではありません。複数の口座について、どこまで手続きを進めたのかを把握するための整理用として利用します。

預金以外の金融資産も確認する

銀行口座が見つかったら、それだけで親の資産確認を終わらせないようにしましょう。相続財産には、預貯金以外の資産が含まれることもあります。既存の資料や契約関係を確認し、ほかに把握していない財産がないか整理していきます。

資産全体を整理する考え方については、資産運用とは何か?初心者にも分かりやすく基礎から解説も、保有する資産について考える際の参考になります。

また、生前から金融資産の所在を家族が把握できる状態にしておくことは、自分自身の将来の資産管理を見直すきっかけにもなります。老後資金の作り方は?注意点も知っておこうも、長期的な資産管理を考える際の関連情報として確認できます。

ただし、銀行口座が見つかったことをもって、亡くなった親の財産をすべて把握できたと判断することは避けましょう。確認できる資料をもとに、預貯金以外の財産についても整理していく必要があります。

手続きに迷ったら状況を整理して確認する

複数の口座や相続人が関係している場合など、どの手続きから進めればよいか迷うことがあります。その場合は、確認した金融機関と現在の手続き状況を整理してみましょう。

相続時照会で口座が判明した場合も、「照会結果を受け取った」「金融機関へ連絡した」「必要書類を確認した」と段階を分けて記録すると、次に確認する事項を把握しやすくなります。

ここで注意したいのは、金融機関への手続きと、税務や法律上の判断を同じものとして考えないことです。金融機関で確認できる内容は各金融機関へ問い合わせ、個別の税務や法律上の判断が必要な場合は、公的窓口や対応する専門家へ事実関係を示して確認する方法があります。

相続手続きの方法や必要書類は、個別の状況によって異なる場合があります。分からない点を推測で進めるのではなく、「何が分かっていて、何を確認する必要があるのか」を整理してから問い合わせると、必要な情報を伝えやすくなります。

まとめ

亡くなった親の銀行口座が分からない場合は、まず通帳やキャッシュカードなど、手元に残された情報から取引金融機関を整理します。金融機関が判明していれば、それぞれの金融機関へ相続手続きについて確認します。

さらに、親が生前に預貯金口座へのマイナンバーの付番を行っていた場合は、相続時照会によって付番された預貯金口座の所在を確認できる可能性があります。ただし、すべての口座を無条件に検索できる仕組みではなく、一部の金融機関は対象外となっています。

口座の所在が分かった後も、それだけで相続手続きが完了するわけではありません。金融機関ごとに必要な手続きを確認し、預貯金以外に把握していない財産がないかも整理していきましょう。

次にやるべき順番は、1つ目に手元の資料から取引金融機関を整理する、2つ目に相続時照会を利用できるか確認する、3つ目に判明した金融機関ごとに必要な相続手続きを確認するという流れです。