• 2026-08-19
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相続した投資信託はどうする?売却・保有を判断するときのポイント

相続財産の中に投資信託が含まれていると、「そのまま保有するのか、それとも売却するのか」と迷うことがあります。投資経験が少ない場合は、商品の内容や値動きの特徴が分からず、判断に困ることもあるでしょう。

相続した投資信託は、相続したという理由だけで売却・保有を急いで決める必要はありません。まず金融機関で必要な相続手続きを確認し、どのような商品を取得したのかを把握します。そのうえで、自分の資産状況や運用目的に照らして考えることが基本です。

この記事では、相続した投資信託の基本的な扱いから、売却・保有を検討するときの確認ポイント、相続後の資産管理まで順番に整理します。

相続した投資信託はまず何を確認するのか

投資信託を相続した場合、最初から「売るか、持ち続けるか」だけを考えると、必要な手続きや商品の特徴を十分に確認できない可能性があります。

まずは、どの金融機関でどの投資信託を保有していたのかを把握し、相続手続きの方法を確認しましょう。そのうえで、商品の内容や相続における評価方法などを整理していきます。

金融機関と保有している投資信託を確認する

最初に確認したいのは、被相続人が利用していた金融機関と投資信託の商品名です。投資信託は証券会社だけでなく、銀行などで取り扱われている場合もあります。

取引報告書や取引残高報告書など、手元に残っている資料があれば確認してみましょう。オンラインで取引していた場合でも、家族が本人の認証情報を使ってログインすることを前提とせず、金融機関へ相続手続きを確認します。

どの金融機関に資産があるのか整理する際、預貯金については亡くなった親の銀行口座を調べるには?相続時照会の仕組みと確認方法を解説も参考になります。

ただし、同記事で扱う相続時照会は預貯金口座を対象としており、投資信託を含む証券口座を一括して検索する仕組みではありません。金融機関へ連絡するときは、次のような文面を下書きとして使えます。

【投資信託の相続手続き確認テンプレート】

「家族が亡くなり、貴社で投資信託を保有していたことが分かりました。相続に必要となる手続きと、現在提出が必要な書類、保有商品の確認方法について教えてください。」

必要書類や手続き方法は、金融機関や相続の状況によって異なる場合があります。実際に手続きを進める際は、利用している金融機関の最新案内を確認してください。

投資信託も相続財産として確認する

投資信託は、相続財産を確認するときに把握しておきたい金融資産の一つです。国税庁は、証券投資信託の受益証券について、相続税・贈与税における評価方法を示しています。

国税庁「No.4644 貸付信託・証券投資信託の評価」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hyoka/4644.htm
(最終確認日:2026-08-21)

国税庁によると、証券投資信託の受益証券は、課税時期に解約請求または買取請求を行ったとした場合に、証券会社などから支払いを受けられる価額を基礎として評価します。ただし、投資信託の種類などによって評価方法が異なるため、該当する商品の扱いを確認する必要があります。そのため、「金融機関の画面などに表示された残高を、そのまま相続税の評価額として使えばよい」と自己判断するのは避けましょう。

相続財産全体について確認したい場合は、相続対象になるものは?見落としやすい項目を知っておこうもあわせて確認すると、預貯金や不動産などを含めて整理しやすくなります。

相続したらすぐ売却しなければならないわけではない

よくある誤解の一つが、「投資信託を相続したら、すぐに売却しなければならない」という考え方です。相続した投資信託をどうするかは、必要な手続きを済ませ、商品の内容や相続人自身の資産状況などを確認したうえで検討します。一方、投資信託は価格が変動する金融商品であり、判断を保留している間も価格が変動する可能性があります。

そのため、売却を急ぐのではなく、まず「どのような資産を相続したのか」を把握することが先です。投資信託の特徴や注意点を確認したい場合は、投資信託の注意点も、商品を理解する際の参考になります。

相続した投資信託を売却・保有するときの判断ポイント

相続手続きと商品の確認ができたら、次に売却するか保有するかを検討します。ただし、「値上がりを期待して保有する」「相続したものだから売却する」といった一つの理由だけで決めると、自分の資産状況との関係を見落とすことがあります。相続人自身の運用目的、商品の特徴、税務上の扱いをそれぞれ確認し、判断材料を整理していきましょう。

自分の運用目的と資産状況に合うか確認する

被相続人が選んだ投資信託が、相続人にも適した商品とは限りません。投資する目的や保有を想定する期間、価格変動に対する考え方は人によって異なるためです。

相続人がすでに複数の投資商品を保有していれば、投資信託を相続することで資産構成が変わります。一方、投資経験が少ない場合は、商品内容を理解しないまま保有を続けることにも注意が必要です。

売却・保有を検討するときは、「被相続人がなぜ購入したのか」だけでなく、「現在の自分がこの商品を保有する理由があるか」という視点から確認してみましょう。資産全体の考え方から整理したい場合は、資産運用とは何か?初心者にも分かりやすく基礎から解説も参考になります。

投資信託の中身とリスクを確認する

「投資信託」という名称だけでは、どのような資産に投資しているのか、どのようなリスクがあるのかまでは判断できません。投資対象となる資産や地域、運用方針などは商品によって異なります。

まず、目論見書(商品の重要事項をまとめた書類)などを確認し、何に投資している商品なのかを把握しましょう。信託期間や換金に関する条件など、今後の保有に関係する項目も確認します。

ここでのよくある誤解は、「投資信託なら複数の資産へ投資しているので、どの商品でも同じように分散されている」という考え方です。投資対象や運用方針は商品ごとに異なるため、投資信託という名称だけで判断することはできません。保有するか迷ったときは、次のようなメモに整理できます。

【売却・保有を考えるための確認テンプレート】

商品名:
主な投資対象:
運用方針:
現在の自分の保有資産との関係:
保有を続ける理由・売却を考える理由:

このメモだけで投資判断を決めるものではありません。目論見書などの資料と照らし合わせ、自分が理解できていない項目を洗い出すために使います。

売却を考える前に取得費なども確認する

相続した投資信託を売却する場合は、売却時の損益を考えるうえで取得費(取得価額)についても確認が必要です。国税庁は、相続や贈与によって取得した株式等を売却した場合の取得費について、原則として被相続人や贈与者の取得費を引き継ぐと説明しています。

国税庁「確定申告書等作成コーナー 取得費とは」
https://www.keisan.nta.go.jp/r7yokuaru/cat2/cat21/cat219/yogosetsumei/shutokuhi.html
(最終確認日:2026-08-21)

購入時の資料や金融機関から交付された書類など、取得費を確認するための情報が残っているかも確認しておきましょう。なお、相続税における投資信託の評価額と、相続後に売却したときの所得計算で用いる取得費は、同じものとして扱わないよう注意が必要です。相続税における評価方法については、国税庁が別途示しています。

個別の税額や申告の要否については、保有商品や相続状況などによって確認すべき内容が異なります。必要に応じて国税庁の案内を確認し、個別判断が必要な場合は税務署や税理士などへ事実関係を示して確認しましょう。

相続後の投資信託を管理するときに意識したいこと

投資信託を相続した後は、「売却するか保有するか」を一度決めれば終わりとは限りません。保有を続ける場合は、相続人自身の資産として管理していくことになります。

相続をきっかけに、自分が保有している預貯金やほかの投資商品も含めて整理すると、相続した投資信託を資産全体の中で捉えやすくなります。

相続した資産だけを切り離して考えない

相続した投資信託を検討するときは、その商品だけを見るのではなく、自分が保有する資産全体との関係も確認しましょう。預貯金、株式、投資信託などを複数保有していれば、相続によって資産構成が変わることがあります。相続前の資産構成に新たな商品が加わるため、現在の運用目的と合っているかを改めて確認するきっかけになります。

ただし、どのような資産配分が適しているかは、個人の目的や状況によって異なります。特定の割合を前提とせず、まず現在保有している資産を把握するところから始めましょう。

保有を続ける場合も定期的に内容を確認する

相続した投資信託を保有することに決めても、被相続人が購入した当時の運用方針をそのまま引き継ぐ必要があるとは限りません。

商品の運用状況だけでなく、投資対象や運用方針、自分の資産管理の目的との関係も確認します。「相続したものだから手を付けない」という理由だけで保有を続けると、自分がどのような資産を持っているのか把握しにくくなる可能性があります。

確認する時期を一律に決める必要はありません。自分の資産状況や運用目的が変わったときには、その商品を保有する理由も改めて整理するとよいでしょう。

判断できないときは確認事項を分けて相談する

相続した投資信託について分からないことがある場合は、「何について判断できないのか」を整理すると、確認先を選びやすくなります。

金融機関での相続手続きや商品の資料については、取引金融機関へ確認できます。税務上の評価や売却後の申告などについて個別判断が必要な場合は、国税庁の案内を確認したうえで、税務署や税理士などへ相談する方法があります。

問い合わせる前に、「金融機関名」「商品名」「相続手続きの進捗」「確認したい内容」をメモしておくと、質問を整理しやすくなります。

売却・保有の判断についても、手続き上の疑問と投資判断を混同しないことがポイントです。まず事実関係を確認し、そのうえで自分の資産管理方針に照らして考えていきましょう。

まとめ

相続した投資信託については、最初から売却・保有のどちらかに決めるのではなく、まず金融機関と保有商品を把握し、必要な相続手続きを確認します。そのうえで、商品の投資対象や運用方針、自分の資産状況との関係を整理していきましょう。

また、相続税の評価に使う価額と、相続後の売却時に損益計算で確認する取得費は、同じものとして考えないこともポイントです。税務上の個別判断が必要な場合は、国税庁などの一次情報を確認したうえで、税務署や税理士などへ相談する方法があります。

次にやるべき順番は、1つ目に金融機関と相続した投資信託を確認する、2つ目に商品の内容と自分の資産状況を整理する、3つ目に税務上の扱いも確認したうえで売却・保有を検討するという流れです。